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【特集記事】山居倉庫と庄内米の歴史|酒田夢の倶楽や資料館など周辺施設も地元ライターが徹底レポート

ほりえ

ほりえ

庄内生まれの管理栄養士ライターです。もともと自然が好きで、さくらんぼや芋煮以外にも、Uターンして感じた山形の魅力、話題のスポットからひっそりと隠れた名所まで地元民ならでは情報をピックアップ。おすすめのグルメ情報もお届けします。

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北前船の交易で栄えた港町「酒田市」。

その繁栄を支えた庄内米を貯蔵する倉庫として作られたのが「山居倉庫」です。

美しい景観に隠された、その建築技術には驚きの連続です!

敷地内には山居倉庫を改修してつくられた「庄内米歴史資料館」、観光物産館「酒田夢の倶楽」があり、農産物直売所である「みどりの里 山居館」も隣接しています。

そこで今回は、山居倉庫の秘密と、お土産や観光名所になっている周辺施設の魅力をたっぷりとご紹介します。

1. 山居倉庫とは

山居倉庫は1893(明治26)年、酒田米穀取引所の付属倉庫として旧藩主酒井家によって建てられ、2021年3月には国指定史跡となった米どころ庄内のシンボルです。

山居倉庫の周辺はもともと新井田川の中州(なかす)に位置していて、山居島(さんきょじま)と呼ばれていました。
※中州…川の中で土砂が降り積もって島のように水面に出ているところ

中州は地盤がゆるくなるので、安定させるために約3.6mもの土を盛ったり、周囲を石垣で固めて松の木を建物の下に打ち込んだりしたそうです。

白壁、土蔵づくり12棟からなる倉庫群のうち9棟は2022年まで農業倉庫として使用されており、米の収容能力は10,800トン(18万俵)。

山居倉庫は1棟あたり120坪で、30kgの米が2万8000~3万個入るくらいの広さだそうです。

現在、倉庫の一部は酒田市観光物産館「酒田夢の倶楽」、庄内米歴史資料館となっており、休日には多くに人で賑わっています。

山居倉庫のココがすごい3選!

山居倉庫には、お米の品質を保つ工夫がたくさん施されています。

今回は山居倉庫のココがすごい!と思った構造について、ガイドの渡部さんのお話をもとにご紹介します。

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[その1] 山居倉庫に植えられたケヤキの木

山居倉庫には、150年以上前に植えられたという35本のケヤキの木があります。

お米は日光や高温多湿な環境を避けて保存するのがよく、このケヤキの木は酒田の強い風や雨、日差しから山居倉庫を守ってくれる役割があるそうです。

また、ケヤキ並木に沿って石畳が続きますが、これは酒田が舞台の一つになっているドラマ「おしん」の反響を受けて、来られた方が歩きやすいように作られた道なのだそう。

どっしりとした山居倉庫と綺麗な石畳がよく合い、ケヤキの木の力強さも感じます!

[その2] 白い土蔵造りの壁

山居倉庫をよーく見ると、白い土壁造りが印象的です。

土蔵造りでは窓がないことが多いそうですが、写真で見ると真ん中に窓がありますね!

これは当時米俵に使われていた藁(わら)の熱を逃がすため、窓をつけて風通しをよくしていたのだそうです。

また、一般的に土蔵は雨に強くないため、ケヤキ並木側の壁は木板を貼ることで補強されています。

[その3] 米蔵の温度上昇や湿気を防ぐ「二重屋根」

米蔵の中の温度を上げないようにする工夫は、ほかにもあります!

「二重屋根」は、蔵と屋根の間に空間を作ることで風通しをよくし、米蔵の中の温度を上げすぎない構造になっています。

また、蔵の下からの熱や湿気からお米を守るために、にがり入りのたたきや塩、もみ殻、丸太、むしろなどを敷き、保存に適した環境に調整されています。
※たたき…「敲き土(たたきつち)」の略で、赤土・砂利などに消石灰とにがりを混ぜて練り、塗って敲き固めた素材
※むしろ…い草や藁などを編んで作った敷物

そして、地面に目を向けると、山居倉庫を囲むようにして作られた側溝があります。

渡部さん曰く、その昔、貯蔵していたお米がねずみに食べられたことで、新井田川から捕まえてきたカニを側溝に放していたという話もあるそうです。

庄内米を守る立派な建物の構造によって、小さい頃から訪れていた山居倉庫がとても頼もしい存在に見えました!

それでは、これより、山居倉庫を改修してつくられた「庄内米歴史資料館」、観光物産館「酒田夢の倶楽」、そして隣接する「みどりの里 山居館」についてご紹介していきます。

2. 一度は訪れたい「庄内米歴史資料館」

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まずご紹介するのは、庄内米歴史資料館です。

ここでは庄内米の歴史や山居倉庫の役割、米の流通などについて幅広く知ることができます。

今回は、庄内米の評判と働く人々について庄内米と酒田港の関係に絞ってご紹介します!

① 建設の経緯

山居倉庫が建てられたのは、1893(明治26)年。

はじめは米の受け渡しをスムーズにすることやお米の改良、周辺の地域を活性化させることが目的だったそうです。

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こちらを読むと、「その名声は深川や大阪堂島にまで…」とありますね。

深川は現在の東京江東区あたり、明治時代には関東や大阪で庄内米が評判になっていたということを知り、驚きました!

② 庄内米の評判と働く人々について

庄内米の評判と働く人々について、興味深い資料を見つけました。

当時、山居倉庫で働いていた従業員の方の心得です。

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これを読むと、お米を扱う際には細心の注意を払って、計量や入庫する作業を行っていたことがわかります。

仕事に対しての責任感や妥協しない姿勢などが、ひしひしと伝わってくるようですね…!

また、山居倉庫は先ほどご紹介したように、お米の品質を保つために工夫された建物のため、その建築技術も評判になった理由の一つなのではないかと思いました。

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さて、館内を進んでいくと、今度は米俵の重さを体験できるコーナーがありました。

当時の女性は米俵(60kg)を3つずつ運んでいたそうですが、筆者の力では左の30kgの俵でもびくともせず……。

そう考えると、当時働いていた方々の大変さやどんな風に背負っていたのかなど、不思議と驚きでいっぱいです!

こうした仕事の厳しさにもめげなかった従業員の方の努力も、庄内米が評判になっていった理由の一つではないかと思いました。

③ 庄内米と酒田港の関係

江戸時代から庄内米は日本各地に運ばれていて、当時の東北地方の中でも一大産地として発展していたそうです。

お米は船で運ばれていたので、酒田港は米取引の中心になり栄えていたそうです。

渡部さん曰く、「初めは江戸まで運ぶのに約1年かかっていたけれど、西廻り航路が開かれてからは約2か月で届けられるようになった。」と話されていました。

このことから、庄内米と酒田港はとても密接に関係しているんだと感じました!

館内にはほかにも、庄内米について学べるコーナーや米作りに使われていた道具が展示されていました。

当時は、女性が船から米を運び(女丁持:おんなちょうもち)、男性が米の検査などを行っていたそうです。

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下は米の計量に使われていた道具です。

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現在も全国的にお米の収穫量が多い山形県。

つや姫や雪若丸などのブランド米が有名ですが、2022(令和4)年でも最高ランクの特Aを獲得していることから、今も評判の高さやおいしさが受け継がれているのがわかります。

山形県民としてはなんだか誇らしい気持ちになりますね…!

今回、訪問させていただいた「庄内米歴史資料館」では、庄内米の歴史や当時の山居倉庫の様子がわかり、大変学びの濃い時間となりました!

詳細情報

庄内米歴史資料館

庄内米歴史資料館

【開館時間】
9:00~17:00
(12月は16:30閉館)
【休館日】
12月29日~2月末まで
【料金】
大人:300円
中学生・高校生:200円
小学生:150円
未就学児:無料
【お問合せ】
庄内米歴史資料館
☎ 0234-23-7470

3. 酒田市観光物産館「酒田夢の倶楽」

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「酒田夢の倶楽」はお土産コーナーがある「幸の館」と酒田の歴史と文化を紹介する「華の館」の2棟で構成されており、年間約80万人が訪れています。

館内には、夢の倶楽オリジナル「つや姫ソフトクリーム」や酒田の地酒が飲み比べできるファストフードコーナー、酒田の老舗料亭「香梅咲」の姉妹店である「食彩旬味 芳香亭」があり、季節ごとの旬のお料理を愉しむことができます。

① 酒田ならではの特産品がある「幸の館」

「幸の館」ではお米をはじめ、日本酒、お惣菜、お菓子など、様々な酒田の特段品が並んでいます。

【酒田の地酒】

庄内平野で作られる酒米や鳥海山や出羽三山の清らかな水など、豊かな自然があってこそ、酒田の日本酒はおいしいのかもしれません…!

「でも、お酒の種類がたくさんあって選ぶのが難しい…!」という方へおすすめなのが、酒田の地酒3本セットです。


 地元で人気の辛口純米酒がセットになっています。

もう少しお酒の種類が多くてもいいという方は、7種類の飲み比べセットもありますよ。

こちらは清酒6本と焼酎1本の詰め合わせです。

お酒好きな方へのプレゼントやお土産にいかがでしょうか。 

【海産物の乾物】

二つ目は岩のりや青さなどの乾物です。

一見、地味に見えるかもしれませんが、香りのよさと旨みが凝縮されたおすすめの一品です。

店員さん曰く、寒くなると問い合わせが増える商品なのだとか。

庄内地方では冬によく寒鱈汁(かんだらじる)を食べますが、最後に岩のりをのせていただきます。

磯の香りがよく、旨みたっぷりの寒鱈汁となじんでおいしいんですよね…!

ちぎってそのまま味噌汁の具として使えるので、普段使いにも便利ですよ

【庄内麩】

乾物つながりでもう一つおすすめなのが「庄内麩」。

食べ方はいろいろですが、こちらもバリバリッと割ってそのままお料理に加えることができます。

ふわっとした食感でうどんやそば、卵とじとも相性がよく、乾物なので長持ちするのもうれしいポイントです!

手ごろな値段で買えるので、お土産にもちょうどいい一品です。

庄内麩だけでもこんなに種類があります!


【しょうゆの実】


最後は、テレビやメディアなどで取り上げられたこともある「しょうゆの実」。

しょうゆの実は、大豆や小麦、お米、種麹を原料にした発酵食品です。

ほんのり穀物の甘みと塩味があって、地元では万能調味料として使われています。

定番の食べ方は、アツアツのごはんにのせていただくこと!

ほかにも冷ややっこやきゅうり、お肉の味つけなど、さまざまなお料理に加えてもおいしいですよ。

次におすすめのお菓子3選をご紹介します。

❶ 酒田米菓

酒田米菓のオランダせんべいは、庄内産のうるち米を薄く焼き上げたせんべいです。

パリッとした食感が心地よく、食べ始めるとついつい手が伸びてしまうんですよね…!

定番は塩味なのですが、ほかにも梅こんぶやチーズ、焼きとうもろこし、桜えび、柚子こしょうなど、バリエーション豊かな味つけで悩みます。


どれもリピートしたくなるくらいおいしいのですが、筆者のおすすめは「梅こんぶ味」です!

ちょっぴり酸っぱい梅の風味と昆布の旨みがたまりません。

県内のさまざまなお店で見かけることも多い商品なので、ぜひ一度食べてみてください!

❷ お麩かりんとう ころかり

ころっとした可愛らしい見た目と、カリッと軽いくちどけがクセになるお菓子です。

かりんとうを連想させる名前ですが、実はお麩を使ったノンフライのお菓子なんですよ!

やさしい甘みと食感の軽さで、気づいたらなくなってしまうおいしさです。

❸ 女鶴餅入りどら焼

ふわふわの生地にあんことやわらかいお餅が入った、大満足の女鶴餅入りのどら焼をご紹介します。

中を割ってみるとこんな感じ。



やわらかくてのびるお餅が真ん中にどーんと構えています(笑)

このお餅がこっくりとした甘さのあんこにもよく合います。

やわらかくもちっとしたお餅の食感と、外側のどら焼が相性抜群で忘れられない味になりました!

② 酒田伝統の工芸品がそろう「華の館」

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酒田夢の倶楽「華の館」では、商人の町酒田の粋と華をテーマに、酒田の歴史や文化にふれることができます。

写真はかわいらしいイラストのポストカードやレターセットです。


取材時は酒田市生まれの切り絵作家、白旗孝夫さんの切り絵展が開催されていました。
 

これらの作品は1枚の紙と1本のカッターを使って描かれているのだとか。

この落ち着いた色合いと山居倉庫周辺の風景が素敵です…!

「華の館」のミュージアムでは、工芸品を実際に購入することもできます。

酒田光丘彫 (さかたこうきゅうぼり)と呼ばれる酒田のクロマツを使った工芸品と組子のコースターや江戸時代から酒田に伝わるつるし飾りの一つ「傘福」等、どれも目を奪われる素敵な工芸品が並んでいます。

また、世界各地で放送され、海外でも人気の酒田にゆかりあるドラマ、NHK連続テレビ小説「おしん」の人形ギャラリーが展開されています。


③ 地元の旬の味覚が味わえる「芳香亭」

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こちらは、左手の入口から入ってすぐのお食事処「芳香亭 (ほうこうてい)」。

ここは、酒田の伝統ある老舗料亭「香梅咲 (かめざき)」の姉妹店です。

お店のイチ押しは「季節の松花堂弁当」。

皆様は「松花堂弁当」について知っていますか?

元々は茶懐石の料理として出され、現在は格式の高い行事や特別なお客様へのおもてなしに用いられることのある料理です。

その大きな特徴は、十字の仕切りがある入れ物に入っていること!

お刺身や焼き物など、一つ一つの料理が鮮やかに盛り付けられていますが、隣のお料理に味や温度が移らず、それぞれの味を楽しめる作りになっています。

芳香亭の松花堂弁当は、山形の旬の味覚が散りばめられたお弁当です。

そのほかにハンバーグ膳や山形牛のビーフカレーなどの洋食もいただけます。

取材中もおいしそうな香りに誘われましたが、ぐっと我慢しました(笑)

今度はぜひランチタイムに訪れてみたいものです!

詳細情報

酒田夢の倶楽

酒田夢の倶楽

【営業時間】
9:00~17:00
・GWとお盆期間は18:00閉店
 (4/29~5/7・8/10~8/16)
・冬期間は16:30閉館
 (12/1~2/29)
【定休日】
1月1日
【お問合せ】
酒田夢の倶楽
☎ 0234-22-1223

4. 新鮮な野菜やお酒がそろう「みどりの里 山居館」

資料館を出て、山居倉庫に沿って駐車場まで歩いていくと、右側に「みどりの里 山居館」があります。

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① 旬の野菜・フルーツ

「みどりの里 山居館」では、採れたての野菜や果物、手作りの惣菜などを販売しています。


取材に訪れたのは12月でしたが、店長の堀さんによると、この季節にはねぎや白菜などの鍋物に入れる野菜を多く扱っているそうです。

庄内産のねぎはやわらかく、冬の寒さの中で甘みも増すのだとか!

また、冬には濃厚な味わいとなめらかな食感で、甘みの中にほんのり酸味がある「シルバーベル」も人気だそうです。

表面の皮が黄色くなって、甘い香りとともに軸の周りがやわらかくなったら食べ頃だそうですよ!

そして、春におすすめなのが、甘酸っぱい「いちご」。

庄内砂丘では元々いちごの栽培が行われてきましたが、産地間競争が激しいことや新品種開発により難しい状況になりつつありました。

そんな中、庄内の気候風土に適した新しいいちごが欲しいという生産者さんの期待を受け、14年の歳月を経て2004(平成16)年に誕生したのが「おとめ心」。

甘さと酸味のバランスがちょうど良く生食でも、アイスなどに加工しても香り豊かで素晴らしいと評価されています。

ぜひ一度食べてみてください。


また、みどりの里山居館では、店舗での販売のほかに季節に応じて様々なイベントを開催しています。

堀さんおすすめのイベントは、7月頃に行われる「メロンフェア」だそうです。

地元の方が知り合いへのおすそ分けとして購入されることも多いようで、庄内砂丘の新鮮なメロンが並ぶイベントです。

筆者も夏になるとよくメロンをいただくのですが、カットした瞬間にフルーティーな香りが広がり、濃厚な甘さでまるで飲み物のようにパクパクと食べられてしまいます。

7月に山居館へお越しの際は、ぜひ庄内産のメロンを見に来てみてくださいね!

② お餅

取材した12月には、お正月向けに酒田の特産品「女鶴もち」が販売されていました。


酒田のもち米「酒田女鶴」を使ったお餅は、粘りとコシの強さが特徴です。

そのおいしさは「もち好きをうならせる」といわれるほど!

女鶴餅のもちっとした食感と温めたときに香るお米の香りが筆者も大好きです。

皆様も見かけたらぜひ食べてみてくださいね!

③ お酒

さいごにご紹介するのはお酒。

お店には専門のスタッフさんがいらっしゃって、何を選んだらいいか迷うときに一緒に選んでくれるので安心して選べますよ。

いつ来ても新鮮な野菜や果物に出会える「みどりの里 山居館」。

ゴールデンウィークや夏休み、実りの秋などは特ににぎわうスポットです。

ぜひ一度足を運んでみてください!

詳細情報

みどりの里「山居館」

みどりの里「山居館」

【営業時間】
9:00~18:00
(冬期間 11月~2月は17:30まで)
【お問合せ】
みどりの里 山居館
☎ 0234-26-6222

5. メッセージ

最後にVISIT YAMAGATAをご覧の皆様へ、酒田観光物産協会専務理事 荒生(あらお)様よりメッセージをいただきました。

「酒田夢の倶楽は、四季折々の山居倉庫の景観やお土産、ギャラリー展示など、年間を通してお楽しみいただける場所です。ぜひお越しください!」

6. まとめ

今回の取材で山居倉庫の魅力や素晴らしさを改めて知ることができました。

庄内米のことや酒田港の発展ともつながりがあること、酒田という街が少しずつ栄えてくる様子が浮かび、とても興味深い経験になりました!

山居倉庫をはじめ、庄内米歴史資料館や酒田夢の倶楽は、修学旅行や海外の方も多くいらっしゃる今も話題のスポットです。

今後も酒田のおいしい食の幸や魅力を発信し続ける、この場所からは目が離せません!

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