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【特集記事】大人のおこもりステイにぴったり 赤湯温泉『櫻湯 山茱萸』で冬の山形を堪能
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佐藤なおみ
宮城県石巻市出身、山形市在住のOLです。美術館・博物館めぐり、温泉、食べ歩きなどが趣味です。同年代の若い女性にも、山形の魅力を知って頂けるような記事を書けるよう頑張ります。講談社『with』の公式ライターもしております。※取材オフショットなど→Instagram(http://bit.ly/2OF8aPy)
こんにちは、山形市在住のライタ―佐藤なおみです。
前回に引き続き、今回も南陽市の魅力をぎゅぎゅっと詰め込んだ記事をお届けします。
山形の冬を語る上で欠かせないのが「温泉」ですよね。
ここ南陽市には、開湯920年以上の歴史を持つ「赤湯温泉」があります。
山形には珍しく、町の中に温泉街があるため駅からのアクセスも良好です。
◆開湯900年以上、名湯赤湯温泉をご紹介
その名前の由来は、かつて源義家の弟・義綱らが戦で傷ついた体を癒した際に、お湯が血で真っ赤に染まった―など所説あるそうです。
温泉街には14軒の温泉宿と4つの公衆浴場が点在しており(2019年12月現在)、周辺には全国的にも有名なラーメン店「龍上海」を始めとした、飲食店も多く軒を連ねています。
◆おこもり宿で過ごす至福の時間
そんな赤湯温泉でわたしが今回お世話になったのは、「櫻湯 山茱萸」さんです。
温泉街でもひと際目を引く立派な門構えが目印で、なんと全7室すべてに掛け流しの露天風呂が付いている、まさに冬のおこもりステイにぴったりな宿です。
ロビーに入ると、心地よい白檀(ビャクダン)の香りが出迎えてくれます。
白檀は古来より高貴な香りとして知られ、お寺などでもよく使われています。
格式高いお宿に相応しいおもてなしに感激しました。
館内は長屋のような作りになっており、真っすぐな廊下に沿ってそれぞれのお部屋や大浴場が並んでいます。
温泉宿でありがちな「どこに何があるかわからない」というストレスとは無縁な点が嬉しいですね。
もちろん段差や重い扉なども無いので、高齢の方でも安心して過ごせます。
7室すべてにお花や植物の名前が付けられており、今回は「釣舟草」に滞在しました。
釣舟草は夏の終わりから秋にかけて咲く花で、蔵王などでも見ることができる山形に縁深い花です。
室内は主室、寝室、リビングの3室で構成されており、洗練されているのにどこかほっとした気持ちにさせてくれる空間です。
お部屋で一息付いたあとは、ウエルカムドリンクにワインはいかがでしょうか。
南陽市や近隣の上山市はワインの産地として有名で、お宿でも豊富な種類のワインを味わうことができます。
またどのお部屋からも、手入れの行き届いた中庭を望むことができます。
その中庭を挟んだところにあるのが、源泉かけ流しの露天風呂。
渡り廊下の先には暖房が完備されたパウダールーム、洗い場もあるので寒い季節でも安心ですよ。
お部屋にお風呂がある利点は、何といっても好きなタイミングで入浴できること。
お湯の温度も好きなように調節出来るので、思わず長湯をしてしまいそうです。
春は芽吹き始めた花々を、夏は縁側を開け放ち涼やかな虫の声を、秋は苔生した地面を覆う色とりどりの紅葉を、ちょうど雪が降り始める今の季節は、シンとした空気を感じながら風情ある雪見風呂を楽しめますよ。
お風呂はお部屋だけではなく、大浴場と露天風呂もあるんです。
特に湯の花が浮かぶ露天風呂では、パイブラパス(泡風呂)も。
気持ち良い泡を身体に感じながら、情緒あふれるお庭を眺めながらゆっくり浸かりたいですね。
◆お部屋で頂く絶品の懐石料理
そしてお待ちかねの夕食は、山形の旬を細やかに取り入れた懐石料理です。
朝夕ともにお部屋で頂けるのがとても嬉しい計らい。
約1時間半~2時間かけて、山形の贅を尽くした料理を堪能できます。
前菜は銀杏豆富や干し柿のバター巻きなど、季節のものがずらりと並びます。
味のあるデザインの器はなんとすべて宿オリジナルのもので、山茱萸の花のロゴマークがあしらわれています。
お造りは季節の魚、鮪と石投でした。
冬の始まりによく見かける薄ら氷に、ぽっかりと穴が開けられた演出が見事です。
そしてこちらのグラタンは、なんとリンゴをそのまま器に使用しているんです。
紅玉は置賜地域でよく育てられている品種で、甘味と酸味のバランスが非常に良いことで有名。
「お腹いっぱいになってしまうので…」と仲居さんから事前に注意を頂きましたが、器ごとぺろりと完食してしまいました。
メインはもちろん山形が誇るお肉ということで、蔵王牛のステーキです。
成分が異なるヒマラヤの2種の岩塩、そしてワサビで頂きます。
蔵王牛は、ミディアムレアが一番おすすめの焼き方とのこと。
カリッと焼き上げられた表面から中心部に向かってのグラデーションは、惚れ惚れしてしまうほどの美しさ!
脂っぽさはほとんどなく、ジューシーな赤身を堪能できます。
そしてきのこのとろみ汁は、2種類のブレンド米で作ったというおこめ煎餅に浸して頂きます。
あおさが練り込まれたお煎餅は磯の香りが豊かで、汁を注ぐとぱちぱちと小気味良い音を立てます。
出汁にはきのこのうま味が染み出ていて、まさにきのこが豊富に採れる山形ならではのメニューですね。
栗ご飯とお漬物、デザートのチョコレートプリンに至るまで本当に豊かな時間でした。
ちなみに朝食は、炊き立ての土鍋ごはんや焼き魚を中心とした和食と、4種のパンやスクランブルエッグなどの洋食の2種類から選ぶことが可能です。
◆まとめ
大浴場を上がった先にある「湯上がりサロン」では、書籍やDVDの貸し出しを行っています。
名立たる文豪の作品や、お子様が喜ぶジブリ映画など広い世代に向けたラインナップ。
わたしは川端康成の「雪国」を片手に、マッサージチェアでのんびりとした時間を過ごしました。
「雪国」といえば、「国境の長いトンネルを抜けるとー」という冒頭の一文はあまりに有名ですが、その光景を思わず山形に重ねてしましました。
雪深いイメージのある山形県ですが、実は山形市中心部はそこまで雪が積もりません。
しかし宿のある置賜地方や最上地方などは、まさにトンネルを越えた先が雪国なんです。
同じ季節、同じ土地なのに、少し車を走らせるだけで美しい雪原に出会える――
山形という土地が四季ごとに見せるさまざまな表情は、何年たっても飽きることがなく、いつも新しい感動を呼び起こしてくれます。
ここ「山茱萸」さんでも、絶品の料理や温かい温泉が旅人の心を解きほぐし、たくさんの感動を与えてくれるに違いありませんよ。
山形の冬を味わいに、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。
詳細情報
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赤湯温泉
<新幹線>東京⇒赤湯(2時間30分)
<車>南陽高畠ICより5分
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