宝珠山立石寺 (通称山寺) は天台宗に属し、創建は860 (貞観2) 年、天台座主第3世慈覚大師円仁によって建立されました。 東北を代表する霊山として知られています。 山寺参拝は登山口よりはじまり、そこから薬師如来座像が安置されている根本中堂を通り、 有名な俳人である松尾芭蕉の像に見送られ山門をくぐり、せみ塚、仁王門、奥の院と続き石段は全部で1015段。 石段を上るごとに、燃えるような紅葉が境内を彩り、心が澄み渡っていくような時間が流れます。 五大堂からの、パノラマに広がる豊かな暖色に輝く景色は、秋にしか見ることのできない絶景です。

山形市中心街にある七日町御殿堰は、江戸時代に整備された「御殿堰」という用水路を再生したエリアです。 水の流れと歴史ある街並みを活かした情緒あふれる空間には、カフェや雑貨店、地元の特産品を扱う店舗が並びます。 先祖伝来の腰が強い手打ちそばを提供する、山形老舗蕎麦屋の「庄司屋」や、「れんげ草」では山形郷土料理の芋煮や和食、「Classic Cafe」は大正時代の趣ある蔵カフェで、地元食材を使用したランチメニューやワインなどを提供しています。 懐かしさと落ち着いた雰囲気で地元の人や観光客に人気の憩いのスポットです。

1975 (昭和50) 年まで県庁舎及び県会議事堂として使用され、1984 (昭和59) 年に国の重要文化財に指定されています。 その後1986 (昭和61) 年から10年かけて復原工事が行われました。 山形市の中心に佇む文翔館は、明治・大正期の面影を今に伝える重厚な建築で、秋になると、赤や黄金色に染まった木々が歴史的な建物をやさしく包み込み、まるで時がゆっくりと流れるような美しい情景を描きます。 クラシカルな煉瓦造りの外観と、鮮やかな紅葉との対比は、まさに絵画のよう。 歴史と季節が交わり、丁寧に整えられた庭園で静かな秋のひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。

「洗心庵 (せんしんあん)」は、民間から寄贈された土地および建物を再整備し、2013 (平成25) 年に生涯学習センターとして開園しました。庭園鑑賞スポットとしては勿論、芸術作品展覧会や、お茶会、生け花など文化施設としても利用されています。ホテルオークラなどを作庭した名造園家、岩城亘太郎が手掛けた庭園は自ら「東北一」と称し、三十種千本の樹木をふんだんに使った池泉回遊式庭園は、大変見応えがあります。秋が深まる頃、庭園を囲むもみじやカエデが一斉に色づき、建物の古色とあざやかな紅葉が織りなす光景、水面に映る紅葉や、やわらかな木漏れ日に照らされた苔むした石畳が、しっとりとした秋の風情を感じさせます。 静寂の中に、山形の深い秋が息づいています。

山形市にある真宗大谷派の名刹最上山専称寺は、1483年創建の歴史を持つ山形市内随一の大伽藍です。 最上義光の娘・駒姫の菩提寺として知られ、境内には文化財の本堂や鐘楼、市指定天然記念物である雪降り銀杏の巨樹がそびえます。 歴史と美が調和する、山形を代表する寺院です。 駒姫は戦国の非情に翻弄された、わずか十五歳の美しい悲劇の姫でした。娘の供養のために義光は高擶 (たかたま) にあったこの寺を、現在の場所へと移し、菩提寺としました。そんな歴史をもつ専称寺ですが、秋には境内を彩る紅葉が見事で、歴史ある伽藍を鮮やかに包み込みます。特に本堂前のイチョウの巨樹「雪降り銀杏」は黄金色に輝き、静寂の中に温かな光を放ちます。

山形市のもみじ公園は、旧藩主・水野家の別邸「宝幢寺跡」に整備された、歴史情緒あふれる庭園です。 園内には約150本のモミジが植えられ、秋には一面が燃えるような紅に染まります。 池を囲む遊歩道からは、水面に映る紅葉が幻想的な美しさを放ちます。 清風荘は、明治維新以前にはお寺の大書院として使用されていました。 茶室である宝紅庵は清風荘に備え付けられた茶室で、静けさの中で季節の移ろいを味わうこともできます。 歴史と自然が調和するこの庭園は、山形の秋を象徴する紅葉名所です。 茶室や石灯籠が彩る景観は、写真撮影にもぴったりのスポットです。